タグ: クレジット業界

<クレジット業界>利益を食い潰す「巨大なカネ食い虫」とは 「金融ジャーナリスト、足もと、クレジットカード会社」

 金融分野で、高い将来性が言われてきたのがクレジットカードビジネスです。ところが、「基幹系システム」の構築という巨大なカネ食い虫がクレジットカード会社の足もとを危うくしています。金融ジャーナリスト、浪川攻さんが報告します。【毎日新聞経済プレミア】

 クレジットカード業界は、オリエントコーポレーション、三菱UFJニコス、三井住友カードといったメガバンク傘下の会社や、JCB、クレディセゾンといった大手が競争してきた。

 そのクレジットカード会社のビジネスは、銀行と同様、巨大な装置産業化している。業務の運営をつかさどる基幹系システムを刷新することになれば、大手クラスで数千億円単位の開発コストに直面する。開発は長期にわたり、その間はシステムに大きな負荷をかけるという理由で新たなカード提携がストップすることもあった。

 開発を終え新システムが稼働しても、その直後から開発費用の償却という財務上の重荷が待っている。システム開発費用は5年間の均等償却が普通のパターンだ。このため、大手では数百億円規模の減価償却費用が毎年、営業利益から差し引かれることになる。

 ◇キャッシングで稼いできたクレジット会社

 クレジットカード業界は、買い物でクレジットカードを利用してもらう「ショッピング」をメインビジネスと位置付けてきた。だが、実際には「キャッシング」、すなわち個人向けローンを拡大して高い収益を稼ぎ出してきた。

 キャッシングの金利は高く、年収制限もなかったことから、さまざまな企業との提携カードを新規発行して、キャッシング利用の促進策がうまくいけば、あっという間に発行コストを吸収でき、利益貢献は大きかった。

 だが、そうした恵まれた収益環境は失われている。貸金業法の改正で、キャッシングの利用額、金利の制約が強化されたからだ。それでも、各社は大型の基幹系システムの開発、構築競争を続けてきた。かつてのような収益力がないため、各社のシステム開発費の償却負担が相対的に大きくなっている。

 ◇共通基盤でも「不毛な戦い」

 もうひとつ、クレジットカード会社の経営を圧迫しているのは、クレジットカードビジネスの共通基盤のシステムも各社が競い合って構築していることだ。例えば銀行業界では、銀行同士の資金決済は、銀行の業界団体が構築した「全銀システム」で行われているが、クレジットカード業界にはそうした統一システムはない。

 「過去には大手クラスで、共通システム作りが非公式に話し合われたが、実現しなかった」(銀行系カード会社)という経緯があり、今も大手各社が「不毛な戦い」を続け、システム開発に巨額の投資を続けているという。

 各社のシステムの減価償却負担が過大となっている結果、セキュリティー向上に向けたICカード化ができずに磁気ストライプカードを使い続けるカード会社もあるのだ。