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平野歩夢、クールの秘密 「笑わなかった小さい頃…」 恐怖心と重圧乗り越え懸命に【全日本空輸、2018年平昌オリンピック冬季競技大会】

 けがによる恐怖心やメダルの重圧を乗り越え、貪欲に競技と向き合い最高の技を追及した平野歩夢。メダル確定後も悔しさをにじませ、涼しげな目つきのまま、わずかに口角を上げただけ。しかし平昌の空を華麗に舞った日本のエースに対し、関係者は「よくやった」とねぎらった。

 「あまりうれしそうな顔をしていないけど、歩夢は昔からそんな感じ。初めて抱っこして笑わそうとしたが、笑わなかった小さい頃を思い出した」と感慨深げに語るのは母方の伯父、田中幸一さん(50)。

 日大に所属する平野は、新潟県村上市の実家に帰省してもスノーボードが頭を離れない。「『ゆっくりしていけよ』と声をかけても、『練習があるから』と数時間しか滞在しなかった」と田中さんは語る。平野の原点は、父の英功(ひでのり)さん(46)が作ったスケートパークで遊んだ経験にある。兄の影響で4歳からスノボを始めると、充実した施設を求め、英功さんが運転するワンボックスカーで福島県や山形県の雪山を回った。

 小学4年でメーカーと契約し、プロの道へと歩み出す。積極的に海外へ出ていくことで経験を積んだ。前回ソチ五輪で一躍知名度が上がると、競技と向き合う姿勢は一層、貪欲になっていく。無理をしてでも高難度の技に取り組まなければ勝てない時流に、葛藤する。成長を見守ってきた後援会の副会長、山田俊治郎さん(73)は「幼いころは純粋に楽しんで滑っている姿が印象的だったが、競技として取り組むようになるにつれて抑制した表情が増えた」と振り返る。

 あるとき、後援会の集まりで顔を合わせた平野に、山田さんは大技に挑む心境を尋ねた。「常に恐怖心との戦いです。でも、がんばって勝ちます」。厳しい世界に生きていることをまざまざと見せつけられた。「こっちが命を懸けていることを、批判する人は分かっていない」。高校時代の同級生、大山昌斗(まさと)さん(19)は、平野が悔しそうに漏らしたのを聞いたことがある。過去の五輪代表選手が服装や記者会見の態度についてバッシングを受けていたことに話題が及んだときだ。

 たゆまぬ努力で限りなく頂点に近づいた平野の姿に、山田さんは思う。「世界に誇れる。ぜひ胸を張ってほしい。夢を見させてくれてありがとう」(石井那納子)

平野歩夢、2大会連続銀に清々しい笑顔「楽しかった」 悔しさ残るも「今までで一番の大会」(J1リーグ、平昌郡)

 ◇平昌冬季五輪 スノーボード男子ハープパイプ決勝(2018年2月14日)

 平昌五輪は14日、スノーボードの男子ハーフパイプ(HP)決勝が行われ、日本からは前回ソチ五輪銀メダルの平野歩夢(19=木下グループ)、片山来夢(22=バートン)、16歳の戸塚優斗(ヨネックス)の3人が出場。平野は2回目で95・25点をマークし、2大会連続の銀メダルを獲得した。日本のスノーボード選手が複数のメダルを手にしたのは初めて。

 最大のライバルであるショーン・ホワイト(31=米国)が最終試技で平野を逆転し97・75点で金メダル、「3強」の一角スコット・ジェームズ(23=オーストラリア)が92・00点で銅メダルだった。

 金メダルの期待が懸かった平野は1回目の試技は転倒し35・25点。それでも、2回目にきっちりと修正し完璧なランを披露。軸をずらしながら縦に2回転、横に4回転する「ダブルコーク1440」の連続技に成功し、95・25点をマークした。

 平野は「前回も銀メダルで上を目指すために4年間練習してきたので悔しさも残ってますけど、自分のできる範囲では全力でやれたのかなと思います」と充実した表情。「楽しかったです」と清々(すがすが)しい笑顔も見せ、「(ホワイトとジェームズと)3人で争って、今までで一番の大会だったんじゃないのかなと思います」と競技を振り返った。「終わってみると本当にすべての人たちに感謝しかない。その力がこの大会でも結果につながったのかなと思います」と周囲の支えにも感謝していた。